理学療法士になったストーリー

幼いころから人の体や健康に興味があり,医療にたずさわるのが夢だった。中学は野球部,高校時代はバスケットボール部に入ったが,高校からバスケをはじめた私は当然レギュラーにはなれず,補欠暮らし。試合に出たくても出れない,そのつらさと悔しさを味わった。同時に忍耐力も鍛えられたかと,今では思える。そんな中でも,ねん挫した時などのテーピングに興味を持ち,たまたま高校にボランティアで来ていただいていた理学療法士の治療に触れる。理学療法士の治療に感銘を受け,国立(当時の厚生省管轄)のリハビリテーション学院に入学。

その当時,リハビリテーションは,WHOの要請で日本での養成校ができてから27年しかたっておらず,社会にはほとんど知られていなかった。そのため,病院での理学療法士・作業療法士の需要の高さに驚くのと同時に,まだ新しい分野ということもあって,そのやりがいに興奮したのを今でも覚えている。

3年間のリハビリテーション学院の教育を終え,国家試験に合格,理学療法士の道を歩む。新潟県立病院で4年間,諏訪赤十字病院での16年間,のべ10万人以上の患者の治療を経験。2009年には,日本理学療法士協会,専門理学療法士(神経系)を取得。2024年3月31日現在,22万人以上いる理学療法士の中で,神経系専門理学療法士取得者は378名(0.2%)しかいない。

理学療法士になって14年ほどたった頃, 日本の神経科学の第一人者である久保田競教授と出会う。京都大学霊長類研究所の所長を退官された久保田先生は,日本福祉大学大学院にて久保田教室を開設,私も久保田教室に入学し,神経科学を学んだ。「いままで培ってきた自分の知識・技術と,彼らの持っている知識・技術を融合すれば,リハビリテーションによって多くの国民を救える」と確信。試行錯誤の中で「統合的運動生成概念」を構築,2012年に一般社団法人BiNI COMPLEX JAPAN(バイニーコンプレックスジャパン)を立ち上げ,セミナー活動を開始。同時に統合的運動生成概念を基にしたBiNI Approach(Biomechanics & Neuroscience Integrative Approach)というアプローチ(施術方法)を考案した。2024年現在,我々のセミナーを受講した理学療法士,作業療法士,言語聴覚士は,5,000名を超える。現在もオンラインセミナー,対面セミナーなど,幅広くセミナー活動を展開している。

「統合的運動生成概念に基づくBiNI Approach」